入梅の候、令和大改修工事も順調に進み、西賀茂造園様のご尽力により、門前の庭園もいよいよ完成に近づいてまいりました。
心落ち着く素敵な庭園に仕上がっておりますので、満福寺へお越しいただき、ご覧いただけますと幸いです。
さて、去る5月15日から19日までの5日間、総本山光明寺において「大授戒会(だいじゅかいえ)」が厳修されました。私はその法要において「准法(じゅんぽう)」という役職を仰せつかり、貴重な経験を積ませていただきました。
授戒会とは、亡くなってから戒名を授かるのではなく、生きている今このときに仏さまの戒をいただき、仏さまが示された教えに自ら誓いを立て、正しい生活・生き方を実践していくことを目的とした法要です。
授戒を受けることで「空号(くうごう)」という戒名を授かり、日々の生活を通して徳を積むことができるといわれています。
『生きて身を蓮の上に宿さずば 念仏申す解やなからん』
西山上人・御詠歌
このお歌は西山上人の御詠歌です。
「私たちは、阿弥陀さまに極楽浄土へとお導きいただけることがすでに約束されている身なのだから、亡くなってから念仏を唱えるのではなく、今、生きているこの瞬間に感謝の念仏をお唱えし、一日一日を喜びと感謝にあふれた生活としていかなければ、仏教に出会った意味がないではないか」という意味が込められています
まさに、「私たちは人間として生まれ、戦争のない日本に生き、仏教の教えを聞くことができるという、当たり前ではない有難いご縁を阿弥陀様からいただいています。そのご縁に感謝し、仏さまの教えを日々の生活の中で実践していきましょう」という教えです。
授戒会では、「三聚浄戒(さんじゅじょうかい)」という戒が最も重要であると説かれます。
「戒」とは、何かを禁止するものではなく、よい習慣を身につけるための教えです。
三聚浄戒は、大乗仏教における菩薩戒を簡単に三つにまとめたもので、
『摂律儀戒(しょうりつぎかい)』・・・・「戒を守り、一切の悪を防ぎましょう」
『摂善法戒(しょうぜんぽうかい)』・・・「進んで善を行いましょう」
『摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)』・・「すべての衆生を教化し、利益となるよう努めましょう」
の三つからなります。つまり、
「どんな小さなことであっても悪いことは避け、良いことを心がけ、人が喜ぶことをたくさんしましょう」という教えです。そして、この「人を喜ばせようとする行い」こそが、阿弥陀さまの慈悲の心そのものであると思います。
すべての生き物には、生き延びようとする「生存本能」と、子孫を残そうとする「繁栄本能」が備わっていますが、「喜ばれると嬉しい」という本能は、人間にしか備わっていないといわれています。
そのような、当たり前ではない人間として生まれ、仏教に出会えたこのご縁に感謝し、喜びにあふれる徳を積むことのできる生活を歩んでいただければ幸いです。
合掌
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